コーヒー抽出史上では、現在一般的に行われている「ろ過式」の前は、素朴な淹れ方「ボイル式」が普通でした。その代表的なモノが「トルコ式コーヒー」です。トルコのレストランやホテルでコーヒーを注文すると、「ネスカフェ」か「トルココーヒー」かを訊かれます。どうも、発展途上国では近代的工場で生産される「インスタントコーヒーやプラステック等」が高く評価されるようで戸惑うことがよくあります。何はともあれ、本場のトルコ・コーヒーを味わうべく、280年の歴史を誇る「伝統的且神秘的水煙管珈琲紅茶絨毯園」をイスタンブールに訪ねました。
さて、トルコ・コーヒーを作るには、写真のような「ジャズヴェ=cezve」を使います。今はステインレスのモノもありますが、銅製が本格的です。トルコでは安く手に入りますが、東京の合羽橋などでも売っています。
作り方は、このジャズヴェの中に「人数分の、深煎りコーヒー豆を極細挽きしたもの、水、砂糖」を入れて混ぜ、沸騰させないように極弱火に掛けます。じっくりと十分程もかけ抽出します(沸騰直前で火からはずし、また繰り返す方法もあります)。出来上がると少し待って粉を沈殿させ、小ぶりのコーヒーカップに注ぎ供します。(現地で確認しましたが、「イブリク=ibrik」は水差しのことです)
さあ、心を澄ませて味わってみましょう。見ただけでその濃厚さ
がわかります。チョコレート状になった抽出液がカップの内側上
部に塗りつけたようになっています。これが独特の素朴さを出し
ています。口に含むと、水とコーヒーの微粉がよく混ざり合ってコクとなっているのがわかります。一緒に空気も溶け込み、柔らかさの元になっているようです。また水の入ったグラスを傍に置き、口を洗いながら賞味するのが作法だと教わりました。これが日本にも伝わったのでしょうか。他の国ではコーヒーに水は付いて来なかったと記憶しているのですが、、。まさにコーヒー好きな人を魅了し、嫌いな人には堪らない口当たりかも知れませんね。私はすっかり気に入ってしまいました。しかし、飲む度に感じたことですが、口に「生木の匂い」が残り、原料に問題があるのかもと思いました。
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